メーカーにおけるPDCA実践のポイント

スモールPDCAの重要性

低予算の商品においてROIを改善するPDCAを確立することは非常に重要です。大きなコストや投資をしてROIを計測するためのシステムを導入しても、分析だけが進んでも、結局、施策の打ち手は変わらずに、運用による改善も進まないケースもあります。マス広告を大量に投下できるほどの商品であれば、ROIの計測は広告代理店が実施結果報告の中でレポーティングをし次回の施策改善につながることもありますが、それができるのは広告予算の大きい商品に限られたりします。

その点で、まずは予算の小さい商品でも実施できるスモールPDCAを確立することが重要です。PDCAによる運用が回れば、実施前半ではROIが悪かったとしても施策終了時には、開始時よりもROIが改善したことを財務部門や経営層に報告できるようになります。さらに、確立したPDCAサイクルは他の商品に展開できるため、スモールPDCAを多くの商品において実施することができれば、その改善効果は非常に大きくなります。

pdca

成果を改善するPDCAサイクル確立に必要なデータに求められる条件

これまで、リアル店舗での購買を目的とした広告販促においては、そのPDCAサイクルは1年や半年などが常識的でした。
ECの業界では購買者の可視化が容易なため、高速PDCAやアジャイルマーケティングといったABテストや実証実験を重視したマーケティング手法が中心となっていますが、
リアル店舗は購買者を短期間で、低コストで可視化するデータがそもそも存在しなかったため、その利用が限定的になっていました。

昨今ではID-POSデータなどの登場でリアル店舗の購買者獲得においても高速PDCAが可能になる環境が整ってきています。
高速PDCAサイクルの確立に必要なデータとはどのようなデータでしょうか?

日単位の実証実験を行い成果を改善する高速PDCA運用を実現するデータとは?
1.コストが安いこと
リサーチコストが高いと、リサーチによる打ち手の改善効果を上回れない
2.データの新鮮さ
商品ライフサイクルが加速している現状では日次単位の鮮度が必要
3.バイアスが少ないこと
調査対象者ではなく、購買者や購入時点に近いデータが望ましい
4.サンプル数の多さ
サンプル数が少ないと、ニッチ商品や少量商品の要因分析ができない
5.購買者が分かること
男性、女性、何歳、新規、ブランドチェンジ、リピートが正しく把握できる
6.比較軸が多いこと
競合、過去、性年代、エリア比較など比較軸が豊富なデータが精度を高める

上記の5つの特徴を備えたデータソースで、リサーチや効果検証を行うならば、施策実施中に効果を検証し、打ち手を変えていくPDCAサイクル(アジャイルマーケティング)を確立、実践することも可能になります。