広告宣伝部門の課題を、解決するために最適なデータとは?

メーカーの広告宣伝部門が抱えている課題とデータ活用について

広告販促部門において費用対効果の計測は、年々その重要度を増しています。2015年の宣伝会議、ビデオリサーチの調査によると、費用対効果(ROI)を計測しにくいことを課題としてあげている宣伝部門責任者は50.6%に上ります。さらに、メディアプランニングや事後の効果検証の予算を十分に確保できないことも課題としてあげられています。施策のプランニングと検証に関するリサーチを実施したいという要望は合計すると67.1%に上り大きな課題となっています。

2015年6月号 宣伝会議
宣伝部長アンケートから読み解く広告主の展望と課題
広告宣伝部門が予算面で抱えている課題
調査機関:宣伝会議、ビデオリサーチ/対象:全国の広告主企業の宣伝部長を中心とした宣伝部門責任者79人/期間:2015年3月24日~4月17日/方法:インターネット調査

 

広告販促の改善を目的としたデータに求められる特徴

メーカーにおけるデータの活用は、経営方針の策定や、商品開発のためのリサーチに調査予算が多く割かれ、広告販促の現場では、活用したいのに予算的な課題を抱えており積極的に推進できていないのかもしれません。
広告販促部署でデータを活用する場合、効果検証をするだけでなくそれをさらに短時間でプロモーションに展開するPDCAサイクルを確立することが重要です。そのため、データ活用にかけるコストを抑えることは広告販促部署がデータを活用する上で最低限の条件となります。

こういった背景から最近では、データの更新速度が速く、比較的低価格でスタートすることができるID-POSデータなどのアクチュアルデータへの関心が高まっています。

豊富な比較軸が打ち手の精度を上げる

実際にリサーチや効果検証をする上では、比較軸の豊富さが必要になってきます。世の中には完全なデータというのはほとんど存在しません。アンケート調査では、選択バイアスや情報バイアス、認知バイアスなど多くのバイアスがかかっています。また、ID-POSデータにおいても選択バイアスである小売店チェーンの偏りなどはさけられません。拡大推計したとしても、やはりチェーンが偏っていれば完全に正しい推計には絶対になりえません。

リサーチや効果検証に用いるデータソースに求められる比較軸
1.競合比較
競合や業界、カテゴリーなど大きな視点から自社商品の位置づけを見極める
2.過去比較
上昇トレンドか、下降トレンドなのか?未来を予測するための材料として
3.同時比較
店舗別やエリア別のABテストで実証実験を行い、PDCAサイクルを確立
4.性別/年代比較
購買者とターゲットのずれを確認。企画のためのリサーチと検証に活用
5.購入頻度比較
カテゴリーエントリー、ブランドチェンジ、ロイヤリティ別の検証と対策

大切なことは、比較することです。競合や、過去と比較することでその傾向値や上昇トレンドなどを把握することができます。また、同時比較ができれば情報バイアスは減りその精度はさらに高まります。上記のように比較軸が豊富なデータを用いて多角的に比較することができれば、分析の精度が上がり、打ち手の精度を上げることにつながっていきます。

次回はPDCAサイクルによるマーケティングROIの改善の注意点を解説いたします。