ID-POSでお客様の購買行動と購入心理を理解しよう
「ID-POSデータ」と「POSデータ」
ID-POSデータとは、ID番号がついたPOSデータのことをいいます。
IDは、個人を識別するためにつけられた番号です。その識別された番号のカードなどを使って店頭で買い物をした販売実績をID-POSデータといいます。
ID-POSについて説明をする前に「POSデータ」について少しお話をしましょう。
POSデータのPOSとは「Point-of-Sales(ポイント・オブ・セールス)」の頭文字からきています。商品を販売した時点での情報を取得・管理する仕組みです。「販売時点情報管理」とも呼ばれるこの小売業のシステムは70年代にアメリカで導入され、その後日本に普及していきました。
「POSデータ」では、「何が」「いくつ」「いくら」で「売れた」のかがわかるので、販売管理を行う上で非常に役立つ情報が取得できるようになりました。
取得に伴い、各店舗での商品の売れ行き、在庫管理、売れ筋商品の把握、欠品管理と様々な場面で活用が広がっていったのです。
1990年代バブルの崩壊により、低価格志向が進み、百貨店やGMSスーパーなどの売上低迷が進みました。ポイントカードは1980年代に値引きなどのセールスプロモーションを主な目的として活用されていましたが、「平成大不況」の中、米国に学び、ポイントカードを単なる販促手段として使うのではなく、CRM(Customer Relationship Management)【顧客層別、顧客別のデータに基づいてニーズ・ウォンツ・購買パターン分析し、顧客との関係を高めながらビジネスを行うマーケティング手法】を行うために「お客様を知る」手段としてFSP=フリークエント・ショッパーズ・プログラム(Frequent Shoppers Program)の導入が進んでいきました。
ID-POSによって、「売上」「商品」という軸に「顧客」という軸が加わる
個人を識別できるID番号を使い、自社に来店される顧客の中でどの人が優良顧客かを見つけることができるようになったのです。
またID-POSを使うことにより、売上を因数分解することで課題を明確にすることも可能となりました。
FSPはOne to Oneマーケティングですから、単純に優良顧客を見つけ、ポイント還元を一律に行っているだけでは意味がありません。優良顧客といっても誰もが同じ商品を買うわけではないのです。
ビールを飲めないお客様がビールの金券をもらってもうれしくない
ID-POSデータを分析することにより、自社に来店されるお客様がどのようなお客様なのか、どのような商品を購入しているのか、何時に来店されているのか、など詳細を知りうることでき、「ビール好き」「乳児がいる」「毎日夕方来店される人」といったような顧客の特徴を知ることができます。
それにより、ビールが好きな顧客にビールの金券を提供したり、ベビー用品購入者に宅配サービスを提案したりと、顧客の顔を浮かべながら、販売促進、売り場構成、店舗開発など様々な場面で活用ができます。また小売業だけでなく、メーカーや卸業も商品開発、ブランド開発、販売戦略、商談資料など様々な場面でID-POSの活用が行われています。
その理由は、店頭はお客様が商品に出会う接点の場だからです。店頭での購買行動を知ること、お客様の購入心理を知るための情報の1つしてID-POSが重要要素となっているのです。